2023年11月27日

演習(大学院ゼミ)の記録

【論文分析】

Constance A. Cook, “A Fatal Case of Gu 蠱 Poisoning in Fourth-Century BC China?,” East Asian Science, Technology, and Medicine 44 (2016): 123-149.

春秋戦国時代の上級法官の最期の3年間の占いの記録を、近年の新出土資料『筮法』に則って解析するという論文を取り上げました。未だ紙のない時代、竹簡に書かれた一次資料相手に丁寧に読み解く作業を通じて、当時の占者達の思考を辿り、依頼人の病因と占者らが見立てているものを突き止めようとする様子が詩的でした。

『筮法』は『清華大学蔵戦国竹簡』の一部であり、そこには従来中国最古とされた算術書よりさらに古い書や、三易研究の立石となるべき新情報が含まれていたりして、今後も易の分野で活発な研究が期待できそうです。【宋】

【書評紹介】

Ekmeleddin İhsanoğlu. The House of Sciences: The First Modern University in the Muslim World. Oxford: Oxford University Press, 2019.

Review by A. Tunç Şen, Isis 114 (2023): 440–441.
本書は、19世紀オスマン帝国における改革の一つであった西洋風大学(Dārülfünūn 、科学の家)の創設を、イスタンブルにおける古典的科学教育から現代的科学教育への移行という観点から論じるものです。一般的に言語や文化に関してヨーロッパから大きな影響を受けているトルコですが、本書でも大学の創設に関してフランスがモデルとなったことが論じられているようです。私としては現代の中東地域の大学にどの程度西洋的文化が見られるのか、またイスラム的伝統が残っているのかについて関心があります。英語訳が出版されているので、これから勉強できればと思いました。【澤井】

【研究発表】

「インターネットにおける専門知信頼の構造」

今回の発表では、bilibili動画サイトにおける専門知対話環境という概念を導入して検討しました。そして、研究対象として、複数の専門知識普及アカウントの具体的な例を紹介しました。また、専門知と信頼に関する先行研究を分析したこともあります。研究対象の選択や論文の構造に関する質問をいただき、とても有意義だと感じています。今までの勉強の状況を踏まえて、今後の予定として、STS理論とANT方法論に関する本を読みたいと考えています【徐】