2023年9月25日

演習(大学院ゼミ)の記録

【論文分析】

平井正人「ジャック・ロルダと機械論対生気論史観」『科学史研究』第60巻(2021年),218–232頁.

今期のゼミで参加者の皆さんに報告してもらう「論文分析」のやり方について、実際の論文を例にとって説明しました。この論文は、生理学において機械論と生気論が対立してきたという歴史観が19世紀前半に出現してくるにあたり、ジャック・ロルダという人物が役割を果たしたことを主張する内容です。細部に立ち入らずに一つだけ改善点を挙げるとするなら、このタイトルからは「ジャック・ロルダ」と「機械論対生気論史観」がどのような関係にあるのか分からないため、それが読み取れるようなタイトルにしたほうが好ましかったように思いました。【有賀】

【書評紹介】

Elizabeth LaCouture, Dwelling in the World: Family, House, and Home in Tianjin, China, 1860–1960. New York: Columbia University Press, 2021.

Review by Irene Cieraad, Technology and Culture 64 (2023): 938–939.

本書は、近代化の過程における中国天津の住宅と家族構造の変化を分析し、帝国の崩壊と植民都市の発展という文脈の中で家族を考察する。 著者はまた、天津のエリート階層のアイデンティティやジェンダー意識、個人親密関係と国家公共意識といった問題を探求し、私的領域は工業化から生まれたというヨーロッパで広く信じられている歴史観に疑問を投げかけている。また、中国の家族と不動産業界についての考察は、現在の社会を反映するものでもある。【徐】

【研究発表】

明治・大正期の科学者資料にみる西日本地域の災害研究記録:物理学者寺田寅彦の個人資料を中心に

今回は10月1日に開催の関西歴史災害研究懇談会での研究発表のリハーサルをやらせていただきました。
当日テーマにしている寺田寅彦文庫の資料について、このときはまだ許可が下りていなかったので代わりに9月1日に歴史地震研究会年次大会で発表した田中舘愛橘の資料をお見せしました。いずれの研究会も、歴史地震・歴史災害という、地震学や歴史学をはじめ様々な分野の専門家がそれぞれの専門知や技術を持ち寄り過去の地震災害を解明することを目指しています。
科学史としては、地震研究の記録やデータの活用に方法論として貢献する可能性があるのではと考えています。【菱木】