2022年9月22日

演習(大学院ゼミ)の記録

【書評紹介】

Frank A. von Hippel, The Chemical Age: How Chemists Fought Famine and Disease, Killed Millions, and Changed Our Relationship with the Earth. Chicago: University of Chicago Press, 2020.

Review by Peter Thompson, Technology and Culture 63 (2022): 902-904.

書評を読む前は、本書のタイトル”The Chemical Age”から、化学による社会の発展に関する技術史について書かれていそうだと考えていましたが、防除、特に害虫に関する内容が主であるようです。また、章や節のトピックが多様なことに特に興味を惹かれましたが、評者はそれらのつながりは曖昧であるとコメントしていました。今回の書評は、書籍のタイトルや概要だけではつかめない別の視点の情報を、書評から得ることができる良い例であったと考えています。【S】

【論文分析】

Yoshiyuki Kikuchi, “International Science in Japanese Eyes: Jōji Sakurai, European Multilingualism and Pacific Monolingualism,” Historia Scientiarum 30 (2021): 113-129.

戦前の日本を事例として、科学者の使用言語という観点から、当時の国際的科学の一面に光を当てた論文です。整った構成の仕方に加え、相対的に少ない一次資料と多くの二次文献を組み合わせて論を組み立てていく手際のよさが印象に残ります。また日本人科学者が何語で論文を書いていたかという数量的データも示されているので、何かの機会に引用できそうに思いました。強いて言うなら、Gordinの著書 Scientific Babel (2015) と本論文の関係について明示的に述べてもらえるとよかったように思います。【有賀】

【ガイダンス(続)】

英語論文の探し方

今期は学術論文を取り上げるので、この機会にあらためて、英語論文の探し方を簡単に説明しました。一橋大学附属図書館のオンデマンドガイダンス資料に従ってWeb of Science, HERMES-Search, Google Scholarの三つを説明したあと、特に科学史の文献データベースとして、History of Science Societyが提供するIsis CB Exploreを紹介しました。【有賀】